前のページで、AIが出したものを診断する目を手に入れました。
どこが弱いのか。なぜ記憶に残らないのか。何が足りないのか。
でも、診断はゴールではありません。
弱点が分かったら、次は埋めなければいけない。
そこで、この領域で一番大事な問いが立ちます。
AIの平均値の外側にあるものを、どこから持ってくるのか。
答えは、ひとつしかありません。
現場から、自分の手で拾ってくる。それ以外に方法はありません。
このページで、その理由を全部話します。
そして、序章であなたに渡したあの武器の、本当の意味も。
序章のあの武器の、本当の意味
なぜ、AIに集めさせない仕様にしたのか
序章で、あなたに「DOMINION 最短成約リサーチ」を渡しました。
競合の広告LP、SEO上位サイト、ポータル、AI言及。市場を見て回るための道具です。
あのとき、僕はひとつだけ思想を伝えました。
収集は機械、所見は人間。
スクリーンショットも、メタ情報の抽出も、CSV出力も、全部ツールが自動でやる。でも「なぜこのコピーがいいと思ったのか」という所見だけは、あなたが手で書く。
そういう仕様にしてあります。
……不思議に思いませんでしたか。
AIを使えば、サイトのリサーチなんて自動でできます。競合LPを100本読み込ませて、共通する訴求を抽出させて、勝ち筋をレポートにさせる。技術的には、今すぐできます。
なぜ、そうしなかったのか。
理由を、あのときは説明しませんでした。
説明しても、意味が分からなかったからです。
でも、第1領域から第3領域までを通過し、前のページでAI出力の診断眼まで手に入れた今のあなたなら、分かります。
借り物のデータは、商談で説明できない
AIが勝手に集めてきたデータは、借り物データ以上の何物でもありません。
考えてみてください。
あなたが提案書を持って、クライアントの前に座っています。競合分析の資料を見せる。訴求の方向性を提案する。
そこで、こう聞かれます。
「なぜ、この訴求なんですか?」
「なぜ、このコピーなんですか?」
「なぜ、他の競合はこう言っているのに、うちはそう言わないんですか?」
このとき、AIに集めさせたデータしか持っていない人は、答えられません。
何の思想もなく、AIが勝手に拾い集めてきたものだからです。
「AIの分析によると、この訴求が多いようです」
これは、根拠ではありません。伝言です。
伝言を持ってきた人に、クライアントは判断を預けません。
一方、自分の目で100本の広告LPを見て、そのうち12本で心が動いて、なぜ動いたかを所見として書いた人は、こう答えられます。
「この業界の広告LPを50本見ましたが、そのうち長期出稿されているものは、ほぼ全部『施術内容』ではなく『施術後の生活』から入っていました。特に反応したのがこの一本で、ここだけ悩みの描写が朝の動作まで具体化されていたんです。御院の強みは検査の丁寧さですから、この角度なら競合と正面衝突せずに差が出せます」
同じ提案でも、後ろにあるものが違う。
説明できる根拠を持っているかどうか。
これが、第2領域から言い続けている「なぜ、を語れる人になれ」の実装です。
現場のコピーは、なぜ強いのか
もうひとつ、もっと本質的な理由があります。
現場に掲載されているコピーは、AIの出力とは、質のレイヤーが違うんです。
理由を説明します。
業界を絞った広告上位、SEO上位。そこで実際に稼働しているWEBサイトに載っているコピーは、人間のプロの厳しいチェックが入った上で世に出ている可能性が高い。
事業者が確認し、担当者が確認し、時には制作会社のディレクターが確認し、修正され、また書き直され、それでようやく公開されている。
もちろん、原稿がAIで書かれている場合もあるでしょう。それは今の時代、当たり前です。
でも、少なくとも、プロが合格点を出すまで推敲を重ねたものです。
そこが決定的に違う。
さらに、広告LPには、もう一段の審査が入っています。
実弾です。
広告費を払って出稿している。反応が取れなければ、赤字になって止める。それでも出稿が続いているなら、その訴求には金を投じる価値があると、広告主が判断している可能性が高い。
第1領域で学んだSEO上位サイトとの違いを、思い出してください。
SEO上位は、ドメインが強い、古くから運用している、被リンクがある、記事量が多い。そういう理由で上位にいることがあります。つまり検索に勝っているサイトであって、必ずしも売れているサイトではない。
でも広告LPは違います。
CVを目的に作られ、実弾を投じて検証されている。
市場の審査を通過した標本。
これが、最短成約リサーチで広告リサーチをメインに据えている理由です。
AIが学習しているのは、インターネット上に存在する言葉の平均です。その中には、稼働していないサイトも、成果を出さなかったコピーも、素人が書いた文章も、全部混ざっている。
一方、あなたが現場で拾うのは、プロの審査と市場の審査を二重に通過した言葉だけ。
母集団の質が、そもそも違うんです。
だから、現場のコピーには、AIの一般的な出力だけでは届きにくい閾値があります。
感情が動いた瞬間を、捕まえる
さて、ここからは実技です。
現場を見に行くのはいい。でも、ただ眺めても何も残りません。
「なんかいいな」で終わって、翌日には忘れている。それでは、100本見ても資産になりません。
拾い方には、手順があります。
3つのステップで説明します。
ステップ1:読みながら、反応した瞬間をメモする
最初に、絶対に守ってほしいルールがあります。
分析しながら読まないでください。
まず、一人の読者として読む。プロの目を一旦置いて、お客様の目線に立って、普通に読む。
そして、心が動いた瞬間だけをメモします。
「おっ」と思った瞬間。
思わず笑ってしまった瞬間。
「なるほど」と納得した瞬間。
続きが気になった瞬間。
感動した瞬間。
この5つです。
理屈はいりません。「なぜ動いたか」は、この段階では考えなくていい。
大事なのは、反応そのものが一次データだということです。
あなたが40代のデスクワーカーとして腰痛LPを読んで、「朝、靴下を履くとき」の一行で手が止まったなら、それは分析結果ではなく、実際に人間の心が動いた記録です。
この一次反応を、AIに代わりに持ってもらうことはできません。
AIが出せるのは、人がどこで反応しそうかという仮説です。
あなた自身が実際に手を止めた記録とは、別物です。
分析しながら読むと、この反応が消えます。「ここは共感パートだな」と構造で見た瞬間に、読者ではなく分析者になってしまう。
だから、順番を守る。まず反応する。分析はあとです。
ステップ2:反応した箇所を、分析する
一通り読み終えたら、メモした箇所に戻ります。
ここで初めて、プロの目に切り替えます。
なぜ、自分はここで反応したのか。
見るのは、5つです。
使われている単語の選択。別の言葉でも意味は通るのに、なぜこの言葉なのか。「痛み」ではなく「重さ」と書いた理由は何か。
文章の長さとリズム。そこだけ文が短くなっていないか。逆に、そこだけ長く畳みかけていないか。
比喩や例えの効果。抽象的な状態を、何にたとえているか。そのたとえは、読み手のどんな経験を借りているか。
意外性や対比の有無。常識の逆を言っていないか。表と裏を並べていないか。
感情に訴える要素。恐怖か、希望か、共感か、承認か。どの感情を触っているか。
……気付きましたか。
これ、第3領域の10の秘技です。
3-7では、技術の名前から入って、例文でどう変わるかを見ました。
ここでやるのは、その逆です。現場で実際に効いているコピーから、使われている技術を逆算する。
型を学んだあとに現場を見ると、見えるものが変わります。「なんかいい」が、「ここでリズムを切って、対比を作って、五感で刺している」に変わる。
第3領域を通過したあなたは、もう、この解像度で現場を見られます。
ステップ3:パターンを発見する
個別の分析が溜まったら、最後にパターンを探します。
ここは、視点を2つ持ちます。
マクロ構造の分析。「森を見る」視点です。
導入部分で、どのように読者の関心を引いているか。
展開部分で、どのような順序で情報を提示しているか。
クライマックスで、感情のピークをどこに持ってきているか。
結論部分で、どのように読者を行動に導いているか。
第3領域のセールスレターの型が、現場でどう実装されているかを見る作業です。ヘッド・ボディ・クロージングの配分。証拠と共感のどちらを先に置いたか。価格をどこで出したか。
ミクロ構造の分析。「木を見る」視点です。
段落の構成。一つの段落に、どのくらいの情報を込めているか。
文章の長短。長文と短文のリズムをどう作っているか。
接続詞の使い方。文章の流れをどう作っているか。
句読点の位置。読みやすさをどう演出しているか。
マクロだけ見ると、「PASONAの型だな」で終わります。それは誰でも分かる。
ミクロまで降りると、なぜその型が機能しているかが見えます。同じ型で書いても売れるものと売れないものがあるのは、ミクロの精度が違うからです。
この2つの視点を、次のページでAIに使わせます。今は、自分の目で見る訓練だと思ってください。
これが「所見を書く」の中身です
最短成約リサーチには、所見を書く欄があります。
あの欄は、まさにこの3ステップを書き留める場所です。
拾ったコピーの隣に、「どこで反応したか」「なぜ効いているか」「どう応用できるか」を書く。
書くのは面倒です。正直、スクリーンショットだけ溜めるほうが速い。
でも、書かなかったコピーは、あなたの中を素通りします。
言語化して初めて、次の案件で使える判断基準になる。
やればやるほど、ツールではなく、あなた自身が強くなる。序章でそう言ったのは、この作業のことです。
一番強い教材は、あなた自身が買ったLP
もうひとつ、誰にでもできて、しかも異常に効く訓練があります。
自分がつい買ってしまったものを、分析することです。
僕たちは普段、売り手として文章を読んでいます。だから「これは共感パートだな」「ここでオファーを出したな」と、構造で見てしまう。
でも、あなたが本当に財布を開いた瞬間があるはずです。
セミナーに申し込んだ。教材を買った。サブスクに登録した。何かのサービスを契約した。
そのとき、あなたは完全に買い手でした。
演技ではなく、本物の見込み客として、疑って、比較して、迷って、最後に決めた。
これほど正確な顧客心理のサンプルは、他にありません。
だから、買った直後に振り返ってください。
どこで「自分のことだ」と思ったか。
どこで「本当かな」と疑ったか。
その疑いを、何が消したか。
最後の決め手は、何だったか。
逆に、買わなかったものも教材になります。
なぜ、あそこまで読んだのに買わなかったのか。どこで冷めたのか。何が足りなかったのか。
離脱した理由を覚えている人は、自分のLPで同じ失敗をしません。
顧客心理は、本で学ぶより、自分の財布で学んだほうが速い。
なぜ、これがあなたの資産になるのか
最後に、この作業の本当の価値を話します。
AIの弱点は、誰がやっても同じ結果になること
AIに競合分析をさせると、誰がやってもだいたい同じ結果が出ます。
同じ業界、同じ質問、同じモデル。出てくる「勝ち筋」も似通う。
つまり、差がつかない。
差がつかないということは、その分析には価値がないということです。全員が持っている情報は、市場では価値を失う。
前のページで話した平均値の問題が、リサーチの段階でも起きているんです。
泥臭い人間の作業が入ると、優劣が生まれる
でも、このリサーチは違います。
あなたが100本の広告LPを見て、心が動いた12本を拾う。
隣の人が同じ100本を見ても、拾うのは違う12本かもしれない。所見の書き方も違う。応用の角度も違う。
個性が生まれます。アドバンテージが生まれます。分析に、優劣が生まれます。
そして、これは積み上がります。
1業界で100本見た人と、3業界で300本見て所見を書いた人では、提案の深さが違う。
さらに1年続けた人は、業界を聞いた瞬間に「この業界はこう来る」と言えるようになります。
これが、専門分野の知見です。誰にもコピーできない、あなただけの資産です。
借り物の武器か、自分の武器か
DOMINIONの中心にある問いを、もう一度置きます。
あなたは、AIからもらった借り物の武器で戦うか。
正真正銘、自分だけの武器を【AIで】作り出すのか。
最短成約リサーチは、後者のための道具です。
AIに市場を読ませるためではなく、あなたが市場を読むために作りました。
集めるのは機械でいい。所見は、あなたが書く。
その所見の積み重ねが、AIから答えを受け取るだけでは届きにくい場所へ、あなたを連れていきます。
ここからは、AIの出番です
前半で、現場からコピーを拾い、自分の所見を残すところまでやりました。
ここからAIを使います。
ただし、役割を間違えないでください。
AIに「この業界の勝ち筋をまとめて」と頼むのではありません。
あなたが自分で集めた現場のコピーを、探しやすくする。選びやすくする。そして、選んだ一本の鋭さを落とさず、自分の案件へ加工する。
AIにやらせるのは、ここです。
集めるのは、あなた。
所見を書くのも、あなた。
最初の候補を絞るのは、AIに任せていい。
でも、どの一本を使うかを決めるのは、あなたです。
最短成約リサーチを、AIの「外部記憶」にする
ここで、序章から貯めてきたデータが効いてきます。
最短成約リサーチには、あなたが自分で見て、自分で拾ったスワイプが溜まっています。
広告LP。SEO上位サイト。競合のファーストビュー。コピー。ビジュアル。そして、そのときあなたが書いた所見。
このデータは、Markdown、CSV、JSONで書き出せます。
案件ごとに書き出して、ChatGPTやClaudeへ読み込ませてください。
ただし、ここで一番やってはいけない指示があります。
「このデータを分析して、この業界の勝ち筋をまとめてください」
これをやると、また平均へ戻ります。
100本の尖ったコピーを入れても、AIが全部を混ぜて要約したら、「共感」「専門性」「安心」「実績」のような、見慣れた市場平均に溶けてしまう。
それでは、何のために自分で集めたのか分かりません。
AIにやらせるのは、混ぜることではなく、選定と整理です。
たとえば、こういう探し方をさせます。
- 自分の所見で強く反応しているスワイプだけを出す
- 日常の具体的な動作を名指ししているものだけを出す
- 市場で頻出している表現を一覧にする
- 逆に、他と似ていない表現を候補として出す
- 今回の対象者に転用できそうなものを、元データを混ぜずに10件出す
大事なのは、元のスワイプを一件ずつ独立したまま扱わせることです。
AIには、候補の番号、元のコピー、あなたの所見、なぜ今回の案件へ使えそうなのかを並べさせる。
そこで初めて、人間が見ます。
AIが10件に絞ったからといって、その1位を採用する必要はありません。
AIは探す。人間が選ぶ。
ここでも役割は同じです。
混ぜない。一本ずつ使う
もう一つ、絶対にやらないでほしいことがあります。
「Aの名指しと、Bのリズムと、Cの逆説を組み合わせて、一番強いコピーを作ってください」
こういう指示です。
一見、賢そうに見えます。
でも、それをやると、AにもBにもCにもなかったものが出来上がります。
AIが複数の良いところを“いい感じ”に混ぜる。つまり、またAIの判断で丸めることになる。
せっかく一本のコピーにあった、変な言い回し、異常な情報密度、妙なリズム、強い名指しまで、全部なだらかになります。
一本なら、一本です。
まず人間が一本を選ぶ。
その一本を、原液のまま見る。
何が刺さったのか。どの語気を落としたくないのか。どのリズムが効いているのか。どこまで対象を狭く切っているのか。
そこを保ったまま、自分の案件へ持ってきます。
一本の鋭さを保ったまま、加工する
たとえば、最短成約リサーチでこのコピーを拾ったとします。
「靴下を履くとき、無意識に壁へ手をついていませんか」
以前なら、ここから「症状名を出さず、無意識の代償動作を名指しする」という構造だけを抜いていました。
もちろん、その理解は必要です。
でも、そこでコピーを構造だけに溶かしてしまう必要はありません。
この一本には、構造以外にも強さがあります。
「靴下を履くとき」という生活の解像度。
「無意識に」という本人も気づいていない行動への切り込み。
「壁へ手をつく」という映像が浮かぶ動作。
そして、「腰痛」という症状名を一度も言わずに、自分のことだと思わせていること。
この鋭さと純度を、そのまま持っていく。
ただし、元のコピーを丸写しするのではありません。
今回の案件で確認できている事実や場面に置き換えます。
たとえば、院長へのヒアリングで「長時間運転した人は、車から降りる一歩目の動きを必ず確認する」と分かっていたなら、AIにはこういう方向で加工させる。
「車から降りる一歩目、腰を伸ばす前にドアへ手をついていませんか」
元の一本が持っていた鋭さは残っています。
でも、場面も、事実も、使っている言葉も、自分の案件へ移っています。
AIにやらせるのは、こういう加工です。
同義語へ置き換える。
同じ機能を持つ別の言葉へ置き換える。
固有名詞を変える。
場面を、自案件で確認できた場面へ変える。
対象を、自分が狙う相手へ合わせる。
変えるのは、元コピーの鋭さを消すためではありません。鋭さを保ったまま、自分の案件の言葉にするためです。
※現場コピーは、表現をそのまま写すための素材ではありません。自案件の対象・事実・場面に合わせて加工し、丸写しにならないように注意してください。ただし、必要以上に恐れて、せっかく拾った一本の鋭さまで薄める必要もありません。
同業だけで見つからないなら、隣の市場を見る
もう一つ、ここで視野を少し広げます。
整体院のコピーを作るからといって、整体院だけを見る必要はありません。
整骨院。パーソナルジム。ピラティス。リハビリ。睡眠改善。ダイエット。
対象者の悩みや、売っている未来や、比較される理由が近い隣の市場には、同業では見慣れていない表現があります。
最短成約リサーチでは、プロジェクトを分けて集めてください。
そしてAIへ読み込ませるときも、どの市場から持ってきたものかを残す。
同業と隣接市場を混ぜて「平均」を作るのではありません。
候補の引き出しを増やすために、別々の棚として持つ。
そこから人間が一本を選びます。
さらに外へ行けば、WEBとはまったく違う場所にも材料があります。
映画。書籍。商品パッケージ。店頭POP。SNSで手が止まった一枚。
そこまで外から異物を持ち込むと、話はもう「平均値を突破する」だけではなく、認知そのものを壊す設計に入ってきます。
その話は、次の領域でやります。
武器:完全解析プロンプトと、感情を動かすAIプロンプト
この作業を毎回手で指示するのは面倒なので、2つの武器を用意します。
完全解析プロンプト。AIが最短成約リサーチのDBから勝手に平均を作るためのものではありません。人間が選んだ一本を深く見て、「この一本の何を落としてはいけないのか」を言語化するための武器です。
対象の切り方。場面。語気。リズム。情報密度。意外性。何を言わずに残しているのか。
一本の純度を理解するために使います。
感情を動かすAIプロンプト。選んだ現場コピーと、完全解析で確認した「落としてはいけないもの」、そして自案件で確認できている一次情報を渡し、鋭さを保ったまま複数の加工案を出させます。
ここでも、他のコピーを混ぜません。
一本のコピーから作るなら、その一本だけを参照する。
別の候補も試したければ、別ルートでもう一度作る。
A案の元ネタはA。B案の元ネタはB。
途中で混ぜない。最後に並べて、人間が比べる。
この順番です。
そして、この2つには、他の武器と決定的に違う性質があります。
素材がなければ、動きません。
あなたが最短成約リサーチを使って現場のコピーを集めていなければ、AIに選ばせるDBがない。
人間が一本を選ばなければ、加工する元もない。
空の状態で「整体院の強いコピーを作って」と打ったら、AIはまた自分の平均から作ります。
だから、この武器を持っている人と持っていない人の差ではありません。
同じ武器を持っていて、現場のデータを貯めた人と、貯めなかった人の差が出ます。
これが、第4領域の設計思想です。
使う前の作法は、これまでと同じ
AIに候補を選ばせる前に、自分の所見を残してください。
一本を加工させる前にも、自分がそのコピーのどこに反応したのかを一度言葉にする。
そのあとでAIの選定や分析を見る。
一致していれば、自分の目が鍛えられている。
違っていれば、「自分は何を見落としたのか」を考える。
AIに探してもらっても、AIに加工してもらっても、最後に育てたいのはあなたの目です。
やればやるほど、ツールではなく、あなた自身が強くなる。
この領域でも、同じです。
AIは候補を出す。最後に選ぶのは、あなた
最後に、役割分担をはっきりさせておきます。
AIは、選定が得意です。
最短成約リサーチから書き出した大量のスワイプを読ませて、「今回の対象者へ転用できそうなものを10件出して」と絞らせる。市場で頻出している表現を整理させる。逆に、他と似ていないものだけを拾わせる。
ここは、どんどん使ってください。
一本を選んだあと、その一本から加工案を10本、20本と出させるのもいい。
ただし、候補を出すことと、採用を決めることは別です。
AIが「この案が最も優れています」と言っても、それをそのまま採用しない。
どの現場コピーを元にするか。
加工後のどの案を使うか。
最後に決めるのは、あなたです。
そして、選ぶ基準はもう手元にあります。
第3領域の心理設計。この読み手は旅のどこにいて、どの壁の前で止まっているのか。主語は「私たち」か「あなた」か。必要性は立っているか。
前のページの診断眼。これは具体性があるか。誰にでも言える文章になっていないか。競合と同じことを言っていないか。
このページで拾った一本の純度。元のコピーにあった語気、リズム、名指し、情報密度、場面の具体性が、加工した瞬間に丸まっていないか。
判断基準を持っている人がAIを使うと、選択肢が増えます。
判断基準がない人がAIを使うと、選択肢に溺れます。
30案出されて、どれも良く見えて、結局AIのおすすめを採用する。それでは、最後の判断まで外注しただけです。
レターで、こう書きました。
AIに指示を出し、サンプルを出させ、方向性を比較し、平均値を見抜き、必要な部分を尖らせ、クライアントに説明し、制作会社や社内デザイナーが迷わず動ける設計図に落とし込む。さらに、いざとなれば自分でも手を動かして修正できる。
これが、AIディレクター&オペレーターの席です。
指示を出すだけの人でも、手を動かすだけの人でもない。
AIで検索と選定と加工を速くし、最後の判断を人間が持つ人。
その席に座るために必要なのは、プロンプトの技術だけではありません。
現場から素材を拾ってくる足と、何を残し、何を変え、どれを採るかを判断する目です。
実案件での見方──提案が変わる瞬間
整体院の案件で、腰痛のLPを作ることになったとします。
現場を見ていない人の提案は、こうなります。
「腰痛で悩む方に向けて、共感から入り、施術の特徴を伝え、症例で信頼を作って、初回オファーへ導く構成にします」
間違っていません。第3領域の型どおりです。
でも、これはAIでも出せます。そして、競合に提案しているデザイナーも、たぶん同じことを言っています。
最短成約リサーチを使い込んでいる人は、ここからが違います。
まず、整体院案件で貯めてきたスワイプDBをMarkdownやCSVで書き出します。
それをAIへ読み込ませます。
ただし、「この業界の勝ち筋をまとめて」とは言いません。
「データを混ぜて新しいコピーを作らないでください。各スワイプを独立したまま扱い、僕の所見で反応が強いもの、日常動作の描写が具体的なもの、他のコピーと似ていないものを候補として10件出してください。元のスワイプ番号と所見も一緒に出してください」
こう絞らせます。
AIが10本に絞ったら、そこから自分で読み直す。
たとえば、その中で一番手が止まったのが、
「靴下を履くとき、無意識に壁へ手をついていませんか」
だったとします。
ここで、別の9本と混ぜません。
この一本だけを見る。
なぜ刺さったのかを、自分で言葉にする。
症状名を言わない。生活の一瞬を切る。本人も気づいていない動作を名指しする。短い。映像が浮かぶ。
AIにも、この一本の「落としてはいけないもの」を確認させます。
そのうえで、院長へのヒアリングで確認できている事実を重ねます。
たとえば、この院では、長時間運転をする人に対して、車から降りる一歩目の動きや、そのときどこへ手をつくかまで確認している。
なら、加工案はこう作れます。
「車から降りる一歩目、腰を伸ばす前にドアへ手をついていませんか」
元のコピーを丸写ししていません。
でも、元の一本にあった鋭さは残っています。
ここでAIに10案出させてもいい。
ただし、全部この一本を元にする。
別の候補も試したければ、別の一本から別ルートで10案作る。
最後に並べて、人間が比べます。
さらに、同業のDBだけでは弱いと感じたら、ピラティスやパーソナルジムなど、隣接市場のプロジェクトも別に書き出してAIへ読ませる。
そこで見つかった一本を、また一本のまま加工する。
市場を広げるのはいい。混ぜて平均にするのがダメなんです。
こうなると、クライアントへ説明するときも変わります。
「AIがこう言ったから」ではない。
「この市場を自分で見て、この一本に反応した。理由はここです。御院には、この鋭さを自分たちの事実で言える材料がある。だから、この方向で作ります」
と言える。
同じAIを使っていても、後ろにあるものが違います。
自分で集めた現場のデータ。自分の所見。AIによる選定。一本の純度を保った加工。そして最後の人間判断。
この一連があるから、提案に体重が乗ります。
そして、この提案ができたとき、あなたはもう見積もりで比較される業者ではありません。
ワーク
ワーク1 広告LPを、3ステップで分解する
最短成約リサーチで保存した広告LPを、1本選んでください。
まず、分析を封じて一読します。読者として読み、心が動いた瞬間だけをメモしてください。「おっ」「なるほど」「続きが気になる」「笑った」「感動した」の5つです。最低3箇所。
次に、その箇所へ戻り、なぜ反応したのかを分析します。単語の選択、文のリズム、比喩、意外性、感情の種類。どれが効いていたのかを一行で書いてください。
最後に、パターンを探します。マクロで、導入・展開・ピーク・結論をどう組んでいるか。ミクロで、段落の情報量、長短のリズム、接続詞、句読点をどう使っているか。
所見欄に、この3層を書き残してください。スクリーンショットだけで終わらせないこと。
ワーク2 自分が買ったLPを、解剖する
過去1年で、あなた自身が申し込んだもの、買ったものを1つ思い出してください。
そのLPやページを、もう一度開きます(残っていなければ、記憶で構いません)。
そして、買い手だった自分を再現します。
どこで「自分のことだ」と思ったか。どこで疑ったか。その疑いを何が消したか。最後の決め手は何だったか。迷った時間はどれくらいで、何が背中を押したか。
書き終えたら、最後に一行だけ加えてください。
「この体験から、自分の案件に持ち込めるものは何か」
ワーク3 スワイプDBを、AIに選定させる
最短成約リサーチで、今扱っている案件のデータを書き出してください。
Markdown、CSV、JSONのどれでも構いません。
AIへ読み込ませたら、次の条件で候補を出させます。
- データ全体を混ぜて、新しいコピーを生成しない
- 各スワイプを独立したまま扱う
- 自分の所見で反応が強いものを優先する
- 今回の対象者へ転用できそうなものを10件以内に絞る
- 元のスワイプ番号、コピー、所見、候補にした理由を併記する
候補が出たら、AIに1位を決めさせず、自分で一本を選んでください。
ワーク4 一本を、丸めずに加工する
ワーク3で選んだ一本を使います。
まず、自分で「この一本の何を落としたくないのか」を書いてください。
語気。リズム。場面。対象の切り方。情報密度。意外性。言わずに残していること。
そのあと、完全解析プロンプトで確認します。
次に、今扱っている案件で確認済みの一次情報を足し、感情を動かすAIプロンプトで加工案を出します。
このとき、他のスワイプは混ぜません。
同義語や同じ機能を持つ別の言葉へ置き換える。固有名詞を変える。場面を自案件の事実へ変える。対象を合わせる。
鋭さを落とさず、丸写しにならないところまで加工してください。
最後に3案まで絞り、採用する1案を自分で決めます。
そして、不採用にした2案についても、一行ずつ理由を書いてください。
ワーク5 隣の市場から、一本持ってくる
同業界だけでは似た表現しか出てこないと感じたら、隣接市場を一つ選んでください。
整体院なら、整骨院、ピラティス、パーソナルジム、リハビリ、睡眠改善などです。
別プロジェクトとしてスワイプを集め、同じようにAIへ候補を絞らせます。
そこから一本を選び、自案件へ加工してください。
隣接市場のデータと同業界のデータを混ぜて平均化しないこと。棚を増やすだけです。
次のページへ
現場のコピーを集め、AIで選び、一本の鋭さを保ったまま自分の案件へ加工できるようになりました。
材料と、使い方は揃っています。
次のページでは、これを実際の制作物へ落とします。
AIが出した70点を、どこまで押し上げるのか。
そして、120点とは何なのか。

