武器を、一本の流れにする
前のページで、コピーの武器は揃いました。
認知を取る言葉。興味を作る言葉。信頼を積む証拠。最後の一歩を軽くする行動コピー。
ただし、強いコピーを一つ置いただけでは、セールスレターにはなりません。
読み手がまだ疑っている段階で価格を出せば、そこで離脱します。悩みを十分に自分ごとにしていない段階で商品説明へ入れば、「別に自分には要らない」で終わります。
必要なのは、何を書くかだけではありません。
何を、どの順番で読ませるか。
このページでは、3-2で学んだ「心理の設計図」を、実際のパーツへ分解します。
ヘッドコピー。ボディコピー。クロージングコピー。
それぞれが何を担当し、どこで読み手の疑いを潰し、どう次の一段へ運ぶのか。
セールスレターを、上から最後まで解剖していきます。
書く前に、もう持っている
最初からリサーチをやり直さなくていい
セールスレターを書く前には、商品、ターゲット、競合、強みを整理する必要があります。
ただ、この講義で最初から再講義はしません。
あなたは、もう全部持っているはずです。
序章のDOMINION 最短成約リサーチで、市場を見ました。
第2領域のヒアリングで、お客様の真の目的、顧客の悩み、商品の強み、競合との違いを掘りました。
サイトプロット設計ベルテくんの7問にも、仮説を持って答えられる状態になっています。
つまり、ここでやることは情報を一から集め直すことではありません。
持っている材料を、セールスレターとして使える形へ並べ替えることです。
売る商品は何か。誰の、どんな悩みを解決するのか。購入後に、どんな未来が訪れるのか。ほかの選択肢と比べて、なぜこの商品なのか。
この四つが曖昧なら、第2領域かリサーチへ戻る。
答えられるなら、先へ進みます。
ペルソナを作れない商品もある
ターゲットを具体化するとき、よく使われるのがペルソナです。
年齢、性別、職業、年収、家族構成、趣味、生活習慣まで決め、たった一人へ向けて語りかける。
一人の商品を売るLPでは、非常に強い方法です。
ただし、すべての商品が、一人の人物像まで狭く切れるとは限りません。
たとえば、毎朝短時間で身だしなみを整えたい人向けの商品があったとします。大学生にも、会社員にも、子育て中の人にも必要かもしれない。年齢や職業を一人に固定すると、かえって本来の見込み客を外します。
こういうときに使えるのが、TPOSです。
TPOSは、人ではなく、その商品が必要になる状況で市場を切ります。
- Time:いつ必要になるのか
- Place:どこで使うのか
- Occasion:どんな場面で必要になるのか
- Lifestyle:どんな生活をしている人なのか
整体院なら、こう考えられます。
朝、出勤前に。自宅で靴下を履こうとした瞬間に。腰が伸びず、仕事へ行くのが憂うつになる。長時間のデスクワークが続く生活をしている。
「42歳の男性会社員」と決めるより、悩みが発生する場面の方が、はるかに強く自分ごとになることがあります。
ペルソナが合う商品は、一人まで絞る。
合わない商品は、TPOSで必要になる瞬間を絞る。
どちらも目的は同じです。
読み手に、「これは自分の話だ」と思わせることです。
「ということはつまり?」で、未来まで降りる
商品のメリットは出せても、ベネフィットが出てこない。
そんなときは、メリットの後ろに、「ということはつまり?」を置いてください。
「腰の可動域が広がる」
ということはつまり?
「朝、腰をかばわずに靴下を履ける」
ということはつまり?
「出勤前から痛みで気持ちを削られず、一日を始められる」
ここまで降りると、施術の説明が、顧客の生活へ変わります。
一回で止めないことです。
「姿勢が整う」「集客できる」「デザインが上達する」。まだ売り手の説明に近い。
その変化によって、顧客は何ができるようになるのか。何を諦めなくてよくなるのか。どんな感情で毎日を過ごせるのか。
「ということはつまり?」を繰り返し、生活と感情まで降りてください。
仮想敵は、人ではなく概念にする
強いセールスレターには、しばしば「何と戦っている商品なのか」があります。
これを、仮想敵と呼びます。
仮想敵があると、商品の理念が立ちます。
ただし、特定の個人、会社、団体、商品を名指しして攻撃することではありません。それでは、ただの悪口になり、余計な争いを生みます。
叩くのは、人ではなく概念です。
DOMINIONなら、「見た目だけを整え、売上や集客を考えないWEB制作」。
整体院なら、「その場だけ楽にして、戻る理由を説明しない施術」。
デザインスクールなら、「デザイナーを稼がせることだけを目的にし、クライアントの先にいる顧客を見ない教育」。
自分たちは、何を良しとしないのか。
なぜ、それではお客様を救えないのか。
反対側を示すことで、こちら側の理念がはっきりします。
強みが見つからないときの、4つの手
競合を調べても、商品機能に明確な差がないことはあります。
整体院なら、施術時間も価格も資格も似ている。WEB制作なら、ページ数も納期も対応範囲も似ている。
そこで「強みがありません」と止まる必要はありません。
一つ目は、属人性です。
何を提供するかだけでなく、誰が提供するか。経験、考え方、人柄、原体験。特に個人事業では、その人自身が違いになります。
二つ目は、特典です。
本体が似ていても、そこでしか受け取れない補助物を付ける。整体院なら、自宅で迷わず続けられる個別セルフケア動画。WEB制作なら、公開後に使える更新マニュアルや導線チェック表です。
三つ目は、権威を借りることです。
専門家の推薦、メーカーとの共同開発、資格、業界団体との関係。自分一人では作りきれない信頼を、関係性によって補います。
四つ目は、共感と理念です。
なぜ、この仕事をしているのか。誰を救いたいのか。どんな業界の状態を変えたいのか。
機能差が小さい市場ほど、最後は「この人から買いたい」が決定打になります。
ただし、どの手も、存在しないものを作る話ではありません。
すでにある違いを見つけ、顧客に伝わる言葉へ変える話です。
そして、完璧なリサーチを待たないでください。
ある程度材料が揃ったら、書き始めていい。
書いていて止まった場所が、足りないリサーチです。証拠が書けないなら証拠を集める。比較が書けないなら競合を見る。悩みが浅いなら、もう一度お客様の言葉へ戻る。
セールスレターは、一直線に完成するものではありません。
止まったらリサーチへ戻り、材料を足し、また書く。
その往復で強くなります。
三つの部屋を、順番に通す
セールスレターの全体構造は、三つです。
ヘッドコピー。ボディコピー。クロージングコピー。
ヘッドコピーの役割は、認知と興味。
ボディコピーの役割は、信頼。
クロージングコピーの役割は、行動です。
3-1で学んだ4つの壁が、そのままページの構造になっています。
ヘッドで「自分の話だ」と気づかせる。
ボディで「ここなら解決できそうだ」と信じさせる。
クロージングで「今、動いても大丈夫だ」と決めさせる。
この順番を飛ばさないことです。
セールスレターの型は、見出しのテンプレートではありません。
読み手の心理を、一つ先へ運ぶ順番です。
ヘッドコピー──猶予は2秒
プリヘッド、キャッチ、サブキャッチ
ページを開いた読み手は、丁寧に読もうとしていません。
自分に関係があるかを、一瞬で判定しています。
その入口を作るのが、三つの部品です。
最初は、プリヘッドコピー。
ターゲットを名指しします。
「何度施術を受けても、数日で腰痛が戻ってしまう方へ」
ここで対象者は、「自分のことかもしれない」と止まります。
次が、キャッチコピー。
商品によって手に入る理想の未来を、短く、強く伝えます。
「戻る腰痛から、卒業する。」
言葉は、短いほど芯が残ります。
ライザップの「結果にコミット」。映画の「生きろ。」。吉野家の「安い、はやい、うまい。」。
説明を削り、約束の中心だけを残すから、強い。
ただし、短くした結果、意味が伝わらなければ成立しません。
そこで使うのが、サブキャッチコピーです。
「痛む場所だけを揉むのではなく、姿勢と動作を検査し、繰り返す原因から見直す整体です」
キャッチコピーで興味を取り、サブキャッチで意味を着地させる。
短い言葉と、分かる言葉を、役割分担させます。
売れるヘッドを作る、三つの質問
ヘッドコピーが浮かばないとき、最初から気の利いた言葉を作ろうとしないでください。
先に、三つへ答えます。
- お客様は誰なのか
- この商品の売りは何か
- お客様は、なぜそれを欲しがるのか
整体院なら、対象は「何度通っても腰痛が戻るデスクワーカー」。売りは「姿勢と日常動作まで検査すること」。欲しがる理由は「その場しのぎではなく、仕事中に痛みを気にしない生活へ戻りたいから」。
この三つが揃えば、言葉の材料はもうあります。
コピーが出ないのではなく、材料がまだ言語化されていないだけです。
4Uで、弱いところを見つける
ヘッドコピーを診断する基準が、4Uです。
Urgent。緊急性。今、読む理由があるか。
Unique。独自性。ほかと違う視点があるか。
Ultra-specific。超具体性。誰に、どんな変化が起きるのか見えるか。
Useful。有益性。読むことで得られる価値があるか。
全部を最大にする必要はありません。大切なのは、なるべく「数字」を入れることです。数字は「超具体性」にかかる重要な指標です。一気に顧客の脳にイメージを沸かせることができます。
「地域密着の丁寧な整体です」のように、四つとも弱いコピーは埋もれます。
たとえば、こう変えます。
◎ 4Uを入れた例
「今月あと3枠。何度通っても戻る腰痛を、仕事姿勢から見直したい◯◯市のデスクワーカーへ」
緊急性、具体性、有益性が入りました。「仕事姿勢から見直す」に、独自の視点もあります。
ここで使った地名や残枠は、当然、事実でなければいけません。
4Uは、言葉を派手にするための道具ではありません。
読み手が止まる理由の不足を見つける診断表です。
GDTは、欲望を積み上げる
もう一つ、感情の強度を見る型が、GDTの法則です。
Goalは、目標。
人は、時間、努力、お金をかけずに結果を得たい。
Desireは、欲望。
富、名声、愛、快適さ。結果の先にある、もっと生々しい願望です。
Teaserは、じらし。
希少性、好奇心、秘密、常識の反対。続きを知りたくなる空白を作ります。
試しに、ダイエット商材でこの型を使ってみましょう。
「7日で3キロ痩せる」
「寝ていても7日で3キロ痩せる」
「ジムに通わず、寝ていても7日で3キロ痩せる」
「ジムに通わず、寝ていても7日で3キロ痩せ、モデル体型を手に入れる」
「ジムに通わず、寝ていても7日で3キロ痩せ、モデル体型を手にし、モテモテの人生を手に入れる」
「ジムに通わず、寝ていても7日で3キロ痩せ、モデル体型とモテモテの人生を手にし、悠々自適な生活を送る」
「セレブだけが知る、ジムに通わず寝ていても7日で3キロ痩せ、モデル体型とモテモテの人生、悠々自適な生活を手に入れる方法」
「セレブだけが知る、一般人には知り得ない秘密の方法」
「セレブだけが知る、好きなだけ食べても痩せる秘密の方法」
後ろへ行くほど、目標、欲望、じらしが積み重なり、言葉の刺激は強くなります。
これは、GDTがどう強度を上げるかを見るための極端な例です。事実ではない結果や、再現できない約束を広告に使うという意味ではありません。
整体院なら、「腰痛を改善する」で止めず、その先にある「仕事へ集中できる」「家族旅行を断らない」「また自分の体を信じられる」まで掘る。
さらに、「なぜ腰だけを揉んでも戻るのか」という空白を残し、続きを読ませる。
GDTは、煽るためだけの型ではありません。
表面のメリットから、読み手が本当に欲しいものまで降りるための型です。
ヘッドコピーに与えられた猶予は、たった2秒です。
その2秒で、「自分に関係がある」「この先に答えがありそうだ」と思わせる。
だから、サイトプロット設計ベルテくんは、FVでメインコピーとサブコピーを分けて出します。短い言葉で足を止め、長い言葉で意味を着地させるためです。
A・B・Cの三案を出すのも同じです。
どの角度、どの強度なら、その市場とブランドに合うのか。一本の正解を押しつけるのではなく、選べる仮説として出す。
ベルテくんの仕様は、このヘッドコピー理論を、そのまま実装しています。
ボディコピー──信じる理由を、順番に積む
ヘッドコピーで足が止まっても、まだ商品は売れていません。
読み手は、興味を持っただけです。
ここから始まるのは、「本当かな」との戦いです。
ボディコピーでは、証拠、共感、商品説明、比較を使い、疑いを一つずつ潰していきます。
まず、約束を証明する
ヘッドコピーで大きな約束をしたなら、すぐに証明材料が必要です。
実績。データ。運営歴。症例。ビフォーアフター。お客様の声。専門家の推薦。
「戻る腰痛から卒業する」と言った直後に、何の証拠もなく院長の想いを長く語れば、読み手は置いていかれます。
読み手が知りたいのは、最初に「それ、本当にできるのか」です。
整体院なら、同じ症状、近い年代、似た生活をしていた人の経過を見せる。どんな状態から始まり、何を行い、どう変わったのか。実名、写真、期間、本人の言葉があれば、信頼はさらに強くなります。
証拠は、大きければいいわけではありません。
読み手が「自分にも起こりそうだ」と感じられる近さが必要です。
共感は、悩みの名前ではなく、場面を書く
次に必要なのが、悩みへの共感です。
ここで伝えるのは、「僕はあなたを理解している味方です」ということ。
ただし、「腰痛でお悩みではありませんか」だけでは浅い。
悩みの名前は合っていても、生活が見えないからです。
素材のダイエット例で比べます。
NG例は、こうです。
✕ NG例
「あなたはダイエットサプリを飲んでも痩せられないとお悩みですよね?」
間違ってはいません。でも、誰にでも言えます。
OK例では、場面まで降ります。
◎ OK例
「これまで10個以上もダイエットサプリを飲んできました。しかし、1キロも痩せることはなく、むしろ太る一方。それでもInstagramを見ると、芸能人やモデルが新しいサプリを紹介しているから買ってしまう。次こそは、次こそはと思うのに、期待は裏切られ続けてきました」
ここまで書くと、「私も同じだ」が起きます。
整体院なら、こうです。
「朝、ベッドから起きるときは、いったん横を向く。洗面台では片手をつく。靴下を履くときは、無意識に腰へ手を当てる。それでも会社では、痛い顔を見せずに座り続けている」
共感できたから感動するのではありません。
共感してくれたから、感動する。
自分でもうまく言えなかった苦しさを、売り手が先に言葉にしてくれた。その瞬間に、「この人なら分かってくれる」が生まれます。
証拠と共感は、商品によって前後して構いません。
疑いが強い市場なら先に証拠。悩みを深く分かってもらうことが重要なら先に共感。
ただ、どちらも飛ばさないことです。
商品説明で、機能を主役にしない
共感のあと、ようやく商品説明に入ります。
ここで多くのレターが、急にパンフレットになります。
施術時間は60分。最新機器を導入。個室完備。三つのコース。駅から徒歩5分。
全部、必要な情報です。
でも、読み手が知りたい中心は、「それで、自分はどこへ行けるのか」です。
商品説明は、機能一覧ではありません。
今いる地点から、理想の未来まで、どう連れていくのかを説明するパートです。
「初回は姿勢と動作を検査します」なら、そこで止めない。
「痛む場所だけでなく、仕事中の姿勢や立ち上がり方まで確認することで、なぜ施術後に戻るのかを一緒に特定します」
「セルフケア動画を渡します」なら、そこで止めない。
「帰宅後に何をすればいいか迷わないよう、あなたの動きに合わせた動画を渡します」
機能を語るたびに、「ということはつまり?」で、未来へつなぐ。
お客様は、商品内容そのものに夢中なのではありません。
その商品で、自分の状態がどう変わるかに興味があります。
ブレッドは、商品説明の弾丸になる
商品の中で手に入るメリットを、短く並べるパートを、ブレッドと呼びます。
箇条書きの先頭に弾丸のような記号が付くことから、そう呼ばれます。
ブレッドは、目次ではありません。
「第1章 腰痛の基礎知識」「第2章 姿勢改善」では、内容しか分からない。
「朝一番の痛みを軽くするために、起き上がる前に確認したい一つの動作」
「仕事中に腰を固めないための、30秒でできる座り直し方」
「施術後に元へ戻りやすい人が、無意識に繰り返している習慣」
内容ではなく、読んだ人が得るものを書く。
最低でも20個は出してください。
最初の5個は、誰でも思いつきます。10個を越えたあたりから、具体的な場面や細かな不安が出てきます。20個を越えると、商品の価値を自分でも見落としていたことに気づきます。
全部を掲載する必要はありません。
頭が空になるまで出し、その中から、自分ごと、具体性、数字、好奇心が強いものを選びます。
ライバルは、同業他社だけではない
読み手が「この商品は良さそうだ」と思ったとき、次に考えるのは、「でも、ほかにもっと良い方法があるかもしれない」です。
ここで比較を放置すると、読み手はページを離れ、自分で検索を始めます。
だから、先回りして比較します。
整体院のライバルは、隣の整体院だけではありません。
整形外科、接骨院、マッサージ、鍼灸、ストレッチ専門店、オンラインの運動動画、市販の痛み止め、腰痛改善ベルトなどのグッズ、何もせず自然回復を待つという選択まで、理想の未来へ行くために考えうる別の手段はすべてライバルです。
ただ、比較においては、相手の短所だけを並べないでください。
整形外科は、画像検査や医学的診断を受けたい人に向いている。マッサージは、その日の疲れを短時間で楽にしたい人に向いている。自宅ケアは、費用を抑えて自分のペースで試したい人に向いている。
そのうえで、こう言います。
「画像検査が必要だと感じる方は、まず医療機関へ行ってください。短時間のリラクゼーションを求める方なら、マッサージの方が合います。何度も戻る理由を、姿勢と日常動作から一緒に見つけたい方には、当院が向いています」
ほかの選択肢を正直に説明すると、「この人は自分の商品を売りたいだけではない」と伝わります。
そして、合わない人が外れ、合う人だけが残ります。
これは前の章で説明した「スクリーニング」の思考と同じです。自分のサービスに合う、最適な客を選ぶということ。そのことにより、「マッチする客」だけを集め、ストレスのない持続的な事業運営が可能となります。
比較表を使う場合も同じです。
価格だけで勝とうとせず、目的、検査、施術方針、担当者、サポート、向いている人を横に並べる。競合を貶めるのではなく、選び方を渡す。
具体名を出す必要がある場合も、批判のために名指ししない。A社、B社、別の解決手段という形で、構造を比較します。
恐怖は、現状維持の代償を見せる
信頼が積み上がっても、人は「このままでも何とかなる」と考えます。
そこで、行動しなかった場合の未来も見せます。
「今の痛みをかばう動作が続けば、仕事や家事で避ける動きが増えるかもしれません」
「休日の予定を、腰の状態を見てから決める生活を、この先も続けますか」
これは、根拠のない恐怖を作ることではありません。
変わらないという選択にも、失うものがあると気づかせることです。
理想の未来だけを見せると、「いつか行けたらいい」で終わる。
現状を放置した未来も見せることで、「今、変える必要がある」が生まれます。
クロージングコピー──買いたい人を、迷わせない
クロージングは、欲しくない人を無理に押し込む場所ではありません。
ここまで読んで、買いたいと思っている人が、最後に抱えている不安を外す場所です。
価格。特典。保証。限定。Q&A。追伸。
全部、「今、動いて大丈夫だ」と思えるようにするためにあります。
価格は、価値を語り切ってから出す
価格を出す位置は、原則として、商品の魅力を語り切ったあとです。
まだ必要性も信頼も立っていない段階で価格を見せると、読み手は数字だけで「高い」と判断します。
先に、悩み、未来、証拠、方法、比較を見せる。
そのあとなら、「予算より高いけれど、分割なら」「この変化が手に入るなら」と、価値との比較が始まります。
もちろん例外はあります。
相場が広く知られ、安さ自体が最大の魅力になる商品です。「ブラックフライデー50%オフ」のようなオファーなら、価格や割引率をヘッドへ出すことが認知と興味になります。
端数価格を使う「マイナス2」の見せ方もあります。
5,000円を4,980円にする。50,000円を49,800円にする。100,000円を98,000円にする。
少し下の価格帯に見せたいときには機能します。
ただし、高級感を作りたい商品では、あえて30,000円のように丸い数字を使う方が合うこともあります。
価格表示は、安く見せれば正解ではありません。
商品の立ち位置と、与えたい印象に合わせて、綿密に意図を持って設計する必要があります。
特典は、「今買う理由」を作る
特典は、本体の価値が弱いから付けるものではありません。
欲しい気持ちはあるけれど、今でなくてもいいと思っている人へ、今決める理由を渡すものです。
サポート期間の延長。個別相談。添削権。追加コンテンツ。無料ツール。数量限定のノベルティ。
整体院なら、初回施術の値引きだけでなく、「自宅で迷わない個別セルフケア動画」「初回来院者限定の姿勢チェックシート」「家族と共有できる再発予防ガイド」などが考えられます。
本体と関係のない物を大量に付けても、価値は上がりません。
理想の未来へ進みやすくするものだけを付けてください。
保証は、引き取れるリスクだけに付ける
3-5で学んだリスクリバーサルも、クロージングで使います。
返金保証、無料相談、初回体験、キャンセル条件の明示。見込み客が負う不安を、売り手側で引き取ります。
ただし、守れない保証を置かないことです。
成果を保証できないなら、結果ではなく「合うかを確認できる」「追加料金はない」「継続を迫らない」といった、実際に引き取れるリスクを言葉にします。
検討客の頭の中では、三つが同時に動いている
購入直前の人は、三つのことを考えています。
一つ目は、最高の未来と、最悪の未来です。
うまくいったら、悩みが消えるかもしれない。
でも、実践できなかったら。自分だけ効果がなかったら。途中で諦めたら。無駄な買い物になったら。
この最悪を、一つずつ潰します。
続けられるか不安なら、サポート。何をすればいいか分からないなら、ロードマップ。自分に合うか不安なら、事前相談。損をしたくないなら、適切な保証。
返金保証は強力ですが、何にでも付ければいいわけではありません。依存心の高い人まで集め、運営側の負担を大きくすることもあります。
保証を付けるかではなく、見込み客が想像する最悪の未来を、どの仕組みで回避するかを考えてください。
二つ目は、手に入れかけたものを失う苦痛です。
人は、得る喜びより、失う苦痛を大きく感じやすい。
販売終了、特典削除、値上げ前になると、急に迷いが強くなるのはこのためです。
ここで無理に追い込むのではなく、別の選択肢を用意する方法があります。
たとえば、手厚いサポート付きの商品を見送った人へ、コンテンツだけの下位版を案内する。これがダウンセルです。
欲しいものを完全に失う苦痛を減らし、販売者側も別の形で価値を届けられます。
三つ目は、今は行動しない理由です。
「もう少し考えよう」「締切ぎりぎりでいい」「忘れたら、それはそれでいい」
人は、欲しい気持ちを抑える理由を、自分で作ります。
だから、期間、人数、価格、特典など、本当に存在する制約を丁寧に伝える。
今動く理由を作ることは、急かすことではありません。
先延ばしによって失うものを、見えるようにすることです。
背中を押す、10のポイント
クロージングで使える材料を、10個に整理します。
- 最初で最後だと伝える。 本当に再開催しない企画なら、その希少性を隠さない。
- 限定性を示す。 期間、人数、価格、特典の終了条件を具体的にする。
- 先行者利益を見せる。 早く始める人ほど得られる経験や機会を伝える。
- あえて少し突き放す。 依存するだけの人には向かない、と姿勢を示す。
- 本気度を問いかける。 現状を変えたい気持ちを、本人にもう一度確認してもらう。
- 理念と想いを語る。 なぜ、この商品を出すのか。購入後に、どんな世界を見せたいのかを伝える。
- 買わない理由を潰す。 時間、費用、難しさ、継続、成果への不安に、一つずつ答える。
- 参加者の声を見せる。 モニターや既存顧客の実践ストーリーで、未来を具体化する。
- 不利なことも正直に言う。 高額なら高額だと認め、その理由を説明する。
- 買わない方がいい人を言う。 商品に合わない人を、販売前に明確にする。
最後の「買わないでください」は、テクニックではなく、姿勢です。
第2領域02-02で学んだ「お客様を選ぶ」と、ここでつながります。
依存心が高い人。時間を確保できない人。必要な環境を持っていない人。目的が商品と合っていない人。
売上のために全員を入れれば、後からクレーム、返金、成果不振、双方の消耗が起きます。
だから、購入前に線を引く。
「この商品は、こういう人には向きません」と正直に伝える。
それは顧客を拒絶することではありません。
合わない契約を防ぎ、本当に届けるべき相手へ集中することです。
お客様を選ぶことと、お客様に選ばれることは、反対ではありません。
同じ条件を、両側から確認しているだけです。
Q&Aは、無言の反論処理
一人が疑問に思うことは、多くの人も疑問に思っています。
「何回くらい通う必要がありますか」
「強い刺激が苦手でも受けられますか」
「医療機関へ行くべき症状との違いは何ですか」
「予約後に都合が悪くなった場合はどうなりますか」
問い合わせが来てから答えるのではなく、購入前に答えておく。
それだけで、行動の摩擦が減ります。
Q&Aは、一度作って終わりではありません。
実際の問い合わせ、相談、断られた理由を集め、随時追加してください。
よくある質問は、見込み客の頭の中を可視化したデータベースです。
追伸は、最後の本文
長いLPを、全員が上から順番に読むわけではありません。
冒頭を見て、価格へ飛び、最後の追伸だけ確認する人もいます。
だから追伸は、おまけではありません。
理想の未来。今動く理由。商品へ込めた想い。買ったあとに見せたい世界。
本文の中で最も大事なことを、もう一度、短く渡します。
同じことを二度言ってはいけない、と考える必要はありません。
読み手は、あなたの文章を暗記していません。
大事なことは、違う角度から何度でも伝えていい。
ただし、最後まで恐怖だけで押さないことです。
「本当に必要だと思った人に届けばいい」
その誠実さと自信で、締めてください。
そして、買わなかった人を敵にしない。
人は、購入しなかった自分を正当化するために、商品や販売者を悪く評価することがあります。
そこで責めるのではなく、「次に来るときまでに、もっと進みやすい道を作っておきます」と伝える。
今回は買わなかった人も、旅の途中にいる見込み客です。
クロージング後まで含めて、信頼設計です。
なお、ここまでの要素を、すべてのLPへ詰め込む必要はありません。
型とは、部品を全部置くことではなく、その商品で止まる不安だけを、必要な順番で潰すことです。
記事LPか、画像LPか
同じ型でも、見せ方は商材と流入によって変わります。
判断軸は三つです。
理想の未来を伝えるために、ビジュアルがどれだけ必要か。どこから来る人か。悩みがどれだけ深いか。
| 判定軸 | 記事LPが向きやすい | 画像LPが向きやすい |
|---|---|---|
| ビジュアル | 文章と論理で価値を理解できる | 見た目や完成像が価値の中心になる |
| 流入 | LINE、X、検索、メルマガなど、文章を読む導線 | Instagram、YouTubeなど、視覚中心の導線 |
| 悩み | 深く、比較検討に説明が必要 | 比較的浅く、直感的な魅力が大きい |
| 商材例 | 副業、投資、語学、教育、キャリア、士業、システム | 美容、ダイエット、建築、インテリア、飲食、レジャー、ガジェット |
これは、商材名だけで機械的に決める表ではありません。
美容でも、長年の肌悩みを論理で説明するなら記事LP寄りになります。士業でも、相続後の暮らしや安心感を写真で見せるなら、画像の役割は大きくなります。
3-3で学んだ通り、どこから来る人かで、型が決まります。
Instagramから来た人に、文字だけの長大なページをいきなり読ませるのか。LINEで何度も教育された人に、派手な画像だけを見せるのか。
ページ単体で決めず、タッチポイントから続く体験として決めてください。
文章主体の記事LPなら、無理に専用デザインを組まず、WordPressで読みやすく整えるだけでも成立します。大事なのは装飾量ではなく、心理が途切れずに進むことです。
制作の流れ──文章を、デザインへ渡す
型を理解したら、実制作は次の7ステップで進めます。
1. 売るものを整理する
解決する悩み、ターゲット、TPOSまたはペルソナ、理想の未来、コンセプト、仮想敵、USPを一枚にまとめます。
2. 各セクションの見出しだけを書く
いきなり本文を書かず、ヘッド、ボディ、クロージングの見出しを先に並べます。
見出しだけを読んでも、心理が前へ進むかを確認します。
3. カスタマージャーニーを重ねる
各セクションを読んだとき、読み手がどんな心理から、どんな心理へ変わるのかを書き込みます。
「不安」「共感」「期待」「疑い」「納得」「決意」。文章ではなく、感情の流れを先に見ます。
4. 記事LPか画像LPかを決める
ビジュアルの必要性、流入導線、悩みの深さから、文章と画像の比率を決めます。
5. セクションごとに参考構図を探し、WFへ当てる
ここも「最短成約リサーチ」で集めた参考LPの出番です。ただし、一枚のLPを丸ごと真似るのではありません。
FVはAの構図、比較表はB、口コミはCというように、文章の役割に合うレイアウトを探し、ワイヤーフレームへ見出しと原稿を置きます。
6. 文章を主役にして組み上げる
記事LPなら、FVや冒頭にデザインの力を集中させ、その後は読みやすい文章を中心に展開します。
画像LPでも、装飾を先に決めず、文章(コピー)の意図から構図を選びます。
7. 写真、背景、あしらいで意味を補強する
明るい未来には、明るい表情と光。現状の苦しさには、重さが伝わる写真と余白。スッキリする未来なら、スッキリした表情と視線。
文字を読まなくても、感情の方向が伝わるようにする。
デザインとは、文章の意図を視覚的に理解させるためのものです。
第1領域で学んだ通り、お客様はデザインそのものに興味があるわけではありません。
デザインを使って、自分の悩みが理解できるか。未来が想像できるか。安心して行動できるか。
文章より先に画像や装飾を作ると、この順番が逆になります。
※参考LPと素材サイトの一覧は、別ページ「随時更新資料集」にまとめています。
実案件での見方──整体院LPの骨格を作る
整体院から、「腰痛の新規予約を増やすLPを作りたい」と相談されたとします。
いきなりキャッチコピーを書きません。
まず、材料を確認します。
対象は、何度通っても腰痛が戻るデスクワーカー。TPOSは、平日の朝、自宅で出勤準備をするとき、腰が伸びずに一日が憂うつになる場面。理想の未来は、痛みを基準に予定を決めなくていい生活。仮想敵は、その場だけ楽にして、戻る原因を説明しない施術。強みは、仕事姿勢と日常動作まで検査し、個別セルフケア動画を渡すこと。
次に、見出しだけを並べます。
プリヘッドは、「何度施術を受けても、数日で腰痛が戻ってしまう方へ」。
キャッチは、「戻る腰痛から、卒業する。」
サブキャッチは、「痛む場所だけを揉むのではなく、仕事姿勢と日常動作まで検査し、繰り返す原因を一緒に見つける整体です」。
ボディでは、同じ悩みを持っていた人の症例を見せる。朝の動作を具体的に描き、共感を取る。なぜ戻るのかを説明する。検査、施術、セルフケアが、それぞれどんな未来につながるかを書く。医療機関、マッサージ、自宅ケアとの違いを正直に比較する。
クロージングでは、料金を出し、初回の流れ、キャンセル条件、向いていない人、Q&Aを置く。今月の受付枠が本当に限られているなら、その残数を示す。LINEで空き状況だけ確認できるようにし、最初の一歩を軽くする。
こうして見出しを並べれば、デザイン前に確認できます。
セクションごとに順番に、まず認知で止まり、興味が生まれ、信頼が積まれ、行動へ進んでいるか。
もし途中で「なぜ、この院なのか」が弱ければ、強みか比較のリサーチへ戻る。
症例が弱ければ、証拠を集める。
共感が浅ければ、ヒアリングへ戻る。
型に当てはめると、文章が書けない理由まで見えるようになります。
ワーク
ワーク1 整体院LP、あるいは自分の作りたいLPの見出しだけを書く
次の順番で、本文を書かずに見出しだけを作ってください。
- プリヘッド
- キャッチコピー
- サブキャッチコピー
- 証拠または共感
- 商品説明
- ブレッド
- ライバル比較
- 恐怖の訴求
- 価格・特典・保証
- 買わない方がいい人
- Q&A
- 追伸・CTA
見出しを上から読んだとき、認知・興味・信頼・行動の心理が途切れていないか確認します。
ワーク2 ポートフォリオLPのヘッドを2本作る
自分のポートフォリオLPを題材にします。
一本目は4Uを使い、緊急性・独自性・超具体性・有益性のうち、最低三つを入れてください。
二本目はGDTを使い、Goal・Desire・Teaserを一段ずつ積み上げます。
最後に、どちらが自分のブランドと見込み客に合うか、理由を一行で書いてください。
ワーク3 記事LPか画像LPかを判定する
自分またはクライアント(想定ペルソナでもいい)の商品、または実案件を一つ選びます。
ビジュアルの必要性、流入導線、悩みの深さの三つから、記事LP、画像LP、またはハイブリッドのどれにするか決めてください。
「この業種だから」ではなく、「この人が、どこから、どんな心理で来るから」と説明できれば合格です。
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解放武器・LPパーツ順序早見表
LPパーツ順序早見表の使い方
LPを作るときに一番迷いやすいのは、
「何を書くか」よりも、「何を、どの順番で置くか」です。
証拠はどこに置くのか。
価格はいつ見せるのか。
共感を先にするのか、それとも実績を先に出すのか。
Q&Aや保証は、本当に必要なのか。
そんなときに使うのが、LPパーツ順序早見表です。
このリファレンスは、LPのパーツを全部並べるためのテンプレートではありません。
今、読み手がどこで止まっているのか。
次に何を疑うのか。
その疑いを越えるために、何を置けばいいのか。
それを素早く判断するための「構成地図」です。
こんなときに使ってください
LPの構成を考えている途中で、
「次に何を書けばいいか分からない」
「一応パーツは揃っているけれど、順番に自信がない」
「実績、口コミ、料金、保証など、どこに置くべきか迷う」
「LPが長くなりすぎて、何を削ればいいか分からない」
「クライアントからもらった原稿を、どの順番に並べればいいか分からない」
そんなときに開いてください。
また、原稿を書いたあとや、ワイヤーフレームを作る前の構成チェックにも使えます。
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型は、手に入りました。
どの順番で、何を置けば、人が最後まで進むのか。もう設計できます。
ただし、型どおりに並べただけの文章は、正しくても、冷たい。
次のページでは、その文章に体温を入れます。
人の心を動かす文章表現、10の秘技です。

